Excite News 2016年4月4日 配信
エントランス
スイスの3月は忙しい。まずはジュネーヴで車の見本市「オートサロン」、そしてその後はバーゼルに移り、時計と宝飾品の見本市「バーゼルワールド」が開催される。
今年はその前進となったマスターメッセ・バーゼル(Muba)が始まってから丁度100年目に当たる。完全にローカルな小規模見本市が、100年かけて世界一大きな時計と宝飾品の見本市となったのである。今年は1500のブランドが参加し、4400人のジャーナリストが取材に訪れたという。
今年の最新ウォッチの傾向と注目のブランドは?
チューリッヒで時計店を営む2代目店主ダニエル・ファイストは、「このところ時計が大きく重くなり過ぎたので、小さく、軽くなる傾向に向かうだろう」と、バーゼルワールド開催前に予想していたが、会場は相変わらず高級メーカーが華やかであった。タグホイヤーは記者会見の様子を大型スクリーンに映し出して人だかりを作ったり、新製品を3Dで体験できるアトラクションはテーマパークのよう。
その裏で、ファイスト氏の予想した流行が顕著に現れた注目株はスマートウォッチではないだろうか。「昨年のスイス時計業界はスマートウォッチの世界展開に遅れを取るまいと、戦々恐々としていた様子だった」と日本時計協会で話を聞いたが、今年はそのスイス時計メーカーが世界初機能のスマートウォッチを発表した。
スイスが誇るレールウォッチを生み出した会社、モンデーン社製のスマートウォッチは、なんとクレジットカード機能のチップがベルトについており、時計をかざすだけで支払いもできてしまう。これまでにこのような機能を持っている時計が中国から商品化されていたが、そのチップは時計に内蔵されているのに対して、モンデーン社はそれをベルトに取り付けることにより、時計を着替えてもチップを付ければ、いつでもこの機能を享受できるようにした。CEOはブースの中に置いてあるスタバのコーヒーメーカーに自分の時計をかざして、コーヒーをご馳走してくれた。
Pay Chip
モンデーンが都会派時計とすれば、アウトドア派にはニクソンのスマートウォッチが光っていた。1つの時計でサーフィンにもウィンタースポーツにも対応できる。音声でメール送信もできる、世界初のアンドロイドとのコラボでもある。
THE MISSION androidwear
古い列車や、ジャズギタリストSLASHのズボンで作った時計も!
この2社は、スマートウォッチの他にも大胆な時計を発表している。
モンデーンは6月にようやく開通されるゴッタルドトンネルの公式パートナーであるが、なんと古い列車の車体から型抜きした金属を材料に作った時計を、バーゼルワールド初日にバーゼル駅で発表して大きな話題になった。
型抜き時計
そしてニクソンは世界的ミュージシャンの寄付素材から時計を作っており、現在はジャズギタリストSLASHの提供したズボンを使った限定時計を売り出すという。
ロック時計
ほかにも注目の時計がたくさん!
コラボもの
収集マニア必見のコラボものもご紹介しよう。ニクソンはスターウォーズと契約して今までも数点のコラボ時計を生み出しているが、今年も新製品が2種類出ている。
他には開店40周年記念のRAYMONNDO WEILが、なんとビートルズとのコラボ時計を発表しており、ブース外部にも大きなビートルズの写真が目を引く。
ビートルズとのコラボ。
スター・ウォーズとのコラボも。
日本ブランド
ここで日本人ならば気になる日本勢も覗いてみよう。スイスで一番知名度があるカシオが発表したバーゼルワールド限定モデルはオシアナス2016「OCW-G1100S」で世界限定200本だという。
その他セイコーのカラフルなブースやシチズンの眩しいブースなど、技術に定評のある日本らしい上品なディスプレイで落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
サマータイムも始まったスイスからの提案で、春一番の時計が欲しくなりそうだ。
(文:中 東生 from スイス)
世界の素敵な暮らしをお届け。『Global Lifestyle』
■取材国・都市:スイス
中 東生(なか・しのぶ)
在外ジャーナリスト協会会員。女性誌編集部に10年関わった後、イタリア、スイスの環境問題に関する記事の伊文和訳、独文和訳を月刊誌に2年間掲載。現在は音楽専門誌、HP、コンサートプログラム等に寄稿する他、欧州からの、文化、社会問題に関わる情報発信に努める。日欧文化交流に尽力すべく、数々のプロジェクトにも携わっている。
Global Press
掲載元
exicteニュース:https://www.excite.co.jp/news/article/Tsite_28396120/